ウェブのシステム開発を行う奥進システム(大阪市中央区、奥脇学代表)は発達障害のある人のための電子版サポートブック「うぇぶサポ」をネットで無料公開している。
「うぇぶサポ」は支援に関わるヘルパーや教師などに発達障害者や自閉症のことを理解してもらうことを目的としている。自閉症の人は、いつもと違う道を通ることや、物の位置が変わるなどの急な変更によって大声をあげるなどのパニックを起こすことがある。
親や支援にかかわってきた人がパニックを未然に防ぐ個々の対応について記載する。書き込んだものを進学先の先生や新しく関わる支援者に伝え共有することで特徴を理解してもらい、一貫した支援を行うことができる。
利用にあたってはユーザー名とパスワードを入力し、障害のある人の情報を匿名で登録できることから、個人情報の保護にも配慮している。また、親がヘルパーや先生など情報を共有しておきたいと思った人に、IDとパスワードを伝えるだけで携帯電話やパソコンから手軽に確認してもらえるのが特徴だ。うぇぶさぽを利用している人は「個人情報を持ち歩かずに情報を確認できるのは安心です」との声が寄せられている。
文部科学省が2002年に行った調査によると、発達障害や他者とのコミュニケーションが難しいとされる自閉症など特別な支援を必要とする生徒は小、中学生全体の6%だった。代表の奥脇さんも自閉症の息子を持ち、親の立場から「息子の中学の進学にあたって、今まで通り息子の特徴や性格を理解してもらい、一貫した教育を行ってもらえるのだろうか」と不安に感じ、新たな環境でも変わらぬ支援をしてもらうためにこのサービスを開発した。
同社は従業員の7人中5人が障害のある人で、車いすでも働けるよう机の高さを平均よりも高くしている。また、疲れたときに休めるよう簡易のベッドも用意するなど働きやすい環境づくりにも努めている。同社の今岡由美子さんは「発達障害の方のサポートだけでなく、訪問介護施設向けのシステムサービスも提供していきたいと考えています。今後も当社の強みであるシステム開発で社会問題の解決の手助けをしていきたいです」と語った。
【編集後記】
私はヘルパーをしており、この機能を多くの方に知って欲しいと強く思いました。支援者が利用者の方の得意なことや好みを知っておくことで、その人の思いを尊重することができると思います。
私の経験からですが、初めて接する利用者の方とはコミュニケーションがうまく取れません。「改札は右を通ることや電車は1番目の車両でないといけない」など一緒に関わる中でその人のこだわりがわかるのですが、早い段階で支援に関わる他の人から「それは聞いておきたかった」と思うことも多くあります。
携帯などから情報を確認できることは、個人情報を持ち歩かなくて済むことも助かりますし、ヘルパーは家を2軒以上訪問したり外出で走ったりするので荷物が減ることは大変便利です。入力についても説明の動画も用意されているので、ぜひ一度試して使って欲しいと思います。
電子版サポートブック「うぇぶサポ」
http://support-book.jp/
(取材:学生通信社 関西大学 喜多元哉)
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