2013.01.30 10:09

関学生運営のコーヒー店、励まし合い互いに成長

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記者:橋本翔一朗

兵庫県西宮市に大学生が運営するコーヒー店がある。関西学院大学文学部3年生、廣瀬詳さん(21)らが立ち上げた起業団体「KGカッフェ製作委員会」だ。昨年5月に西宮の門戸厄神に店舗を出店し、9月には神戸・元町にも2号店を開いた。同団体はコーヒー豆の買い付けから店舗運営まですべてを学生たちが手がけている。こだわりの豆が自慢と聞き、店を訪ねてみた。

同団体が運営するコーヒー店は、阪急門戸厄神駅から徒歩7分のところにあった。「いらっしゃいませ」。店先を訪ねると、廣瀬さんが温かく迎えてくれた。店舗はたこ焼き屋の屋台をレンタルし、自分たちで改修したそうだ。早速、いくつかあるメニューのなかから「キャラメルマキアート」(430円)を注文、その場で飲んでみた。口の中で残るその香りやコクが、記者が普段飲むようなコーヒーチェーン店のコーヒーとは違い、深くてとても濃いのが印象的だった。12月下旬の取材で冷えた記者の体を、ほんのりと温めてくれた。

 廣瀬さんが同じ大学の同級生2人を誘い、同団体を立ち上げたのは2010年4月だった。「大学生になって何かやりたいと思っていた。コーヒーに決めたのは偶然で、最初は自分の成長のために始めた」と廣瀬さんは語る。立ち上げ当初は、西宮や宝塚のイベントに屋台を出店。2011年4月から12月までイベント出店を続けながら、宝塚にある百合珈琲の店舗を毎週日曜日に借りながら活動した。焙煎技術や店舗運営は、同珈琲店から教えてもらいつつ自分たちでも学んだ。昨年の8月にはブラジルの農園を訪れ、豆の買い付けを直接行った。扱う「スペシャルティーコーヒー」と呼ばれる豆は、日本の市場に2%ほどしか出回らない高級豆だ。「生産者の顔が見え、飲む人が安心できるコーヒーを提供したい」と廣瀬さんは語る。
 
活動を続けるなかで苦労もあった。廣瀬さんたちが、コーヒー販売のために移動カーを使って地域を回っているとき「あっちへ行け。学生のくせにえらそうにするな」と地域の人に言われたことがあったという。「つらいと思う出来事も正直あった。でも、仲間同士で励まし合い、いつか自分たちの店舗を持とうという気持ちが強くなった。仲間がいたからここまで続けることができた」と廣瀬さんは振り返る。現在、メンバーは浅田大起さん(22)らが加わり、7人にまで増えた。「ファミリー」と互いに呼び合い、全員で切磋琢磨することを大切にしている。

 店舗を訪れるのは老若男女を問わず、地元の人が多く「この店のコーヒーはおいしい」「また、買いにいくわ」との言葉をもらうことも。今年4月からは、営業日を現在の木曜日と日曜日の週2日から増やす予定だ。今後の目標について、廣瀬さんは「社会人に負けない仕事をしたい。海外にも店舗を持ち、コーヒー文化をもっと広めていきたい」。浅田さんは「自分たちで活動を終わらせるのではなく、1、2年生のメンバーを増やし、活動を引き継ぎたい。将来は、コンサルティング会社へ就職し、委員会の経営をサポートしたい」と語る。

 「お疲れさま。寒いなか頑張っているね」。「いつもありがとうございます」。記者が、コーヒーを店先で飲んでいる際も、このような会話が常連客と廣瀬さんたちの間で交わされていた。自らの成長のため産声をあげた団体は約3年がたち、着実に地域の人にとってもかけがえのない存在になりつつあるのを感じた。

〈取材後記〉
「正直、活動をやめたいなってときもないの?」取材の合間に、少しいじわるな質問を廣瀬さんに投げかけてみた。すると、間髪を入れずに「この活動が好きやし、ないなあ」との返事。取材が終わった後もしばらくその場に残って、廣瀬さんのようすを見ていたが、本当に楽しんで活動をしている。私は廣瀬さんと同じ大学3年生で、就職活動のまっただ中だが、その姿にハッとさせられた。素直に「好き」と言えるものは何だろうか、「働く」とはどういうことだろうか、改めてよく考えてみたい。

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記者プロフィール

橋本翔一朗

橋本翔一朗

役職 : 学生通信社代表
卒業 : 関西学院大学商学部
出身地 : 兵庫県姫路市
誕生日 : 1990年11月24日
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