2012.07.31 14:30

ナリス化粧品・村岡弘義社長に聞く

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

記者:喜多元哉

 障害のある人の雇用を創出する100%出資の特例子会社「ナリスコスメティックフロンティア」を2005年に設立したナリス化粧品(大阪市福島区)。ナリスグループの代表も務める村岡弘義社長に、設立の経緯や企業理念、障害のある人を雇用する上での思いを聞いた。 

――ナリス化粧品の創業から変わらない思いとは

 「ナリス化粧品の創業者は論語の教えのひとつ『恕(じょ)』の『自分がしてほしくないことは人にするな、自分がしてほしいことは相手にしてあげなさい』を社員に伝えていた。富を築くことや社会的地位が上がることだけではなく、相手への温かい思いやりが大切であり、化粧品を使ってくださるお客さまが美しくなることが自分の幸せになると考えた。それが現在の企業理念『for others 人様のために』につながっている」

 ――ナリスコスメティックフロンティア設立の経緯は

 「きっかけは知的障害のある長男が生まれたこと。子供が生まれる前までは企業活動による利益や効率優先の考え方が重要だと考えていた。成長していくにつれ、行政や医療など関わりが少なかった分野の人たちとの接触が増え、私の感覚以上に多くの障害者が社会にいることに気付いた」

 「ナリスは80年の歴史があり、今後も社会にさらに根付いて存続していくうえでどのように貢献するかを考えた。企業として、障害のある人に寄付や車いすを贈るのではなく、化粧品づくりを通して就労の機会を増やし、お金を稼いで自立した生活を送ってもらいたかった。障害者には、やさしくしてもらって当たり前という『してもらう体質』がしみついているように感じる。しかし、一般企業での就労の能力がある人は働くべきである。だからこそ働ける環境の整った会社をつくった」

 ――働きやすい環境を作るために心がけていることは

 「民間企業なので効率よく作業ができるよう心がけている。障害の違いに合わせてできる作業をふりわける工夫と健常者との役割分担を考えている。例えば耳が聞こえにくい人に対しては、作業中の異常をランプで知らせるようにしている。他にも、車いすの人に合わせて机の高さを変えた場合、立って仕事する人には不便な高さになるので、車いす専用の作業ラインに変更した。知的障害のある人は、集中力が高い人も多く、箱詰めなど単純な作業に向いている。試行錯誤しながらその人に合った作業を行うことができるような環境整備を行っている」

 ――他の社員にはどのような影響を与えたのか

 「障害のある人と一緒に働いたことがなかったので、心配する社員も少なくなかった。障害のある人が作った化粧品の品質は保てるのだろうかという意見もあった。事業を開始して『私の親戚(しんせき)の中にも障害者がいます』と話す社員もいた。会社の方針に共感してくれる販売員はフロンティアで作った商品を一生懸命販売してくれる。障害のある人が工場でまじめに仕事に取り組む姿に胸を打たれて、社員は自分の勤務態度を見直し、協力して仕事をしている」

 ――今後の展望を

 「2013年4月から国の法定雇用率も引き上げられ、フロンティアのような会社の社会的ニーズは高まる。それと同時に、障害者が働ける環境が整った企業の存在価値が注目され、増えていくだろう。今年の8月から化粧水などの商品のラインを増産する。こうした話をすることは売名行為だと捉えられるかもしれないが、商品が売れることで障害のある人が経済的に自立するほうがいいと思う。フロンティアで作る製品がナリス化粧品を助けてくれるようになってほしい」

※「フジサンケイ ビジネスアイ」2012.7.30(西日本版)掲載

ギャラリー

記者プロフィール

喜多元哉

喜多元哉

役職 : 元事務局リーダー
卒業 : 関西大学人間健康
出身地 : 兵庫県神戸市
誕生日 : 1991年4月25日
  • Facebook
  • Blog
  • Twitter

取材記事

ページの先頭へ戻る