2013.02.08 18:12

「クラスター」の花田繁宣社長に聞く

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記者:田中茉希子

クラスター(大阪市北区)は大阪、東京を拠点にアウトソーシング(業務の外部委託)を支援する人材派遣など、総合人材サービスを手がける。「人材を『人財』とすることで社会に貢献したい」と語る花田繁宣社長に起業までの道のりと転機となった出来事について聞いた。――起業する前の仕事は

 「新卒で入社した会社で訪問販売の営業をしていた。3年間勤め、同期で入社した50人の中で営業成績1位だったが、無理やり顧客に商品を売るなど、考えが合わず退社した。その後、父に紹介してもらった教材販売の会社に入社。営業推進部で関連企業の営業の管理を行った。事業の改善のために経営幹部に提言していたが、全く通らなかった。そのときに社長室の人から一緒に会社をつくらないかと声をかけられた。その後、退社して起業に携わったが、3カ月で廃業し路頭に迷った」

――人材派遣を手がけるきっかけは

 「起業する3年ほど前に、企業が自社の業務や機能を外部に委託するアウトソーシングがはやっていた。人材派遣の仕事もアウトソーシング業の一つだが、人が労働で得た利益の一部で会社が成り立っていることが不思議だった。社会での必要性を知るために、人材派遣の会社に入社した」

 「その後、利益が生まれる仕組みは理解できたが、利益だけを目的にしている会社の姿勢に疑問が残った。派遣の募集をして、システムの説明だけで終了。面接もしない。これでは適性を考えた仕事の紹介はできない。人材派遣の仕事は働く人の生活を背負っている。それで利益を得ている以上、働く人たちがやりがいを感じられるビジネスモデルを作るべきだと考え、29歳のとき独立を決意した」

 ――事業の特徴を

 「適性に合った仕事を紹介するために個別面談を2時間行っている。面談前は自分にどんな仕事が向いているか分からず不安な人が多い。面談でどのように働きたいか、仕事上で大切にしていることなどを聞くことで、視野が広がり、仕事への意識が高まっていく。強みはセールスプロモーションの仕事だ。販売促進業務やサンプリング業務などの個別対応が求められる仕事に対応するため、接客能力の高い人材を育成している」

 ――転機は

 「創業から順調に売り上げを伸ばしていた。当時は1人で売り上げを作っている感覚だった。社員には厳しい対応をし、一緒に起業した人からは『花田さんみたいなやり方をすると社員が萎縮します』といわれた。しかし売り上げが順調だったため、聞く耳を持たなかった。転機になったのは、創業3年目に税務調査が入ったこと。納税額が足りないことが判明した。自分で経理をしていたが、納税の仕方を分かっていなかった。経営の怠慢から起きたことだ」

 ――どのように持ち直したのか

 「経営の仕方が分からなくなり、半ばノイローゼ気味になった。所属していた大阪府中小企業家同友会のメンバーの経営者からアドバイスをもらった。その時は会社を辞めようと考えていたが『会社はあなた1人の会社じゃない。どんな気持ちで会社を作ったかは知らないが、社員やお客さまをほったらかしにしてはいけない』といわれた。この言葉を聞き、考えを改めた。その後、社員の給料を下げたり、多くの人に頭を下げたりし、なんとか持ち直した」

 ――今後の展望は

 「どこの会社も売り上げを伸ばしたいと考えている。販売能力と接客能力が高い人材を育成する仕組みを作りたいと考えている」

※「フジサンケイ ビジネスアイ」2013.1.28(西日本版)掲載

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記者プロフィール

田中茉希子

田中茉希子

役職 : 前広報部リーダー
卒業 : 同志社女子大学学生学部情報メディア学科
出身地 : 山口県下松市
誕生日 : 1991年1月8日
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