2012.10.05 19:23

【中小企業で働く学生を追う】龍谷大 松浦勇貴さん

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記者:田中茉希子

龍谷大学経営学部3年の松浦勇貴さん(22)は将来起業を目指し昨年12月、大阪市内でインターンシップ説明会に参加した。「ケーキを売るのではなく、ケーキを通して喜びを提供する」という有限会社ジャンティベルン(兵庫県西宮市) の倉本洋一社長(40)の考えに惹かれ、同社でインターンシップをすることを決めた。

 
インターンシップ中に出された課題は七夕に向けた新商品の企画。生まれが京都ということもあり、京都の素材と洋菓子を組み合わせられないか考えた。最初に思いついたのは伏見とうがらしを使い、辛(から)い洋菓子を作るアイデア。しかし農家に素材を提供してもらえるよう依頼をした際、伏見とうがらしは辛くないことが分かった。「構想していたものが崩れ、心が折れかけました」と松浦さんは話す。他にも京都のお茶、味噌、黒豆など多くのアイデア が出たが、考えがまとまらず二転三転した。

コラボ商品をゼロから企画

京都で宇治茶販売を行う知り合いのお茶屋から、茶香服の要素をお菓子に取り入れたら面白いのではないかと言われたことが転機になった。茶香服は京都の伝統的な遊びで、5種類のお茶を準備し、それぞれに「花」「鳥」「風」「月」「客」と分類記号を付け、茶葉の品種を当てる。マカロンに5種類の茶葉を使用し、それぞれの香りの違いを楽しんでもらうことを考えた。茶葉は煎茶、抹茶、玉露、京番茶、玄米の5種類を使用。和の香りがするマカロンで「WAKARON」という名前になった。

 一人で考えている間は考えがまとまらなかったが、倉本社長やパティシエ、お茶屋の方に話すことで、アイデアが固まっていった。「一人でゼロから商品を作ることはできない。様々な人との会話のキャッチボールがアイデアを生むきっかけになった」と松浦さんは話す。

 商品の企画が完成し、製造はパティシエが行った。商品が完成するまで3カ月かかった。その後、販売も行った。自分が作った商品をお客が買って、笑顔になってくれたことがとても嬉しかった。同社の「ケーキを売るのではなく、ケーキを通して喜びを提供する」という考えをあらためて噛み締めた。まさに自分は今、商品を通じてお客に喜びを提供しているのだと思った。


〈取材後記〉
インターン期間中、松浦さんが支えにしていた倉本社長の言葉「自分の頭の中で具体的にイメージできていることは、実際に成功することができる」。私はこの言葉を聞き、不安に感じるのは成功までの道のりをしっかりとイメージできていないからではないだろうかと思いました。もしかしたら「WAKARON」の誕生の秘訣は、成功することを常にイメージしていたから完成したのかもしれませんね。

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記者プロフィール

田中茉希子

田中茉希子

役職 : 前広報部リーダー
卒業 : 同志社女子大学学生学部情報メディア学科
出身地 : 山口県下松市
誕生日 : 1991年1月8日
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