2018.06.06 09:44

就職活動で大切なことは、やりたいことより先に自分を知ること

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記者:古江晃也

充填機メーカーのナオミ(大阪府箕面市)で働く新卒社員第一号の田中ナルさんは、2016年に入社したと同時にマーケティング部署を立ち上げ業績向上に貢献している期待の星だ。
会社内で自分の実力を発揮している田中さんだが、就職活動で精神的に追い詰められたこともあったという。
就職活動時代の経験や会社での仕事を通して、これから働くことを考える若者にとって何を大切にしてほしいのか話を聞いた。




―ナオミの事業内容は?
「当社は1972年に創業し、主に食品工場へと小型充填機を設計、製造、販売している。
充填機とは、瓶などの容器にプリンやジャムといった流動系のものを詰めるための機械だ。
また、社会貢献活動として2014年から京都の烏丸で町家を活用した「学び舎 傍楽」を運営している。『すべての年代が孤独にならない社会をつくる』をコンセプトにしたイベントを定期的に開催。不登校の相談会というイベントを開催した時は、周りに相談できるような場所がないという理由で北海道から参加した人もいた。」


―会社内ではどのような仕事をしている?
「マーケティング・広報室として、充填機の問い合わせ数をアップさせるための方法などを検討、実施している。入社と同時に立ち上げた新しい部署なので当初はマーケティングに意味があるのかと周りから思われていたこともあったが、2年ほど続けていると問い合わせ数をこれまでに比べ2倍にアップさせることができた。マーケティングの必要性が会社でも認知され始め、今では他部署との連携も行っている。」


―就職活動はナオミのような会社を志望していた?
「就職活動を始めたころはベンチャー企業を志望していたが、人間力を高めつつ成長できる環境を求めて途中から大企業を志望した。ただ、一次試験のグループディスカッションを受けたもののすべて落ちてしまう。
納得がいかず人事担当に落ちた理由を聞くと『個性的な意見を持っている人はうちに向いていない。あなたはベンチャーの方が向いている』と言われた。
ベンチャーが合わないと感じて志望した大企業からは合っていないと言われ、どうしていいのかわからなくなった。
自分は社会に適合できないのではないかと、スーツを着ると冷や汗が止まらなくなり、面接を控えた前日は眠れなくなるなど就活に対して鬱になっていった。
就活鬱となったことで今までのように就活を行うことができず、中断することにした。」


―どのような経緯でナオミへ入社した?
「大学3年生の頃にアルバイトをしていた塾のつながりで傍楽に行った時に出会い、親交のあった社長の駒井に就活をやめようと思っていることを相談すると『何もすることがなければ、うちでインターンをしたらいい』と誘ってもらったことがきっかけ。
大学4年生の5月から翌年の3月までインターンとしてブログの運用などを担当し、問い合わせ数をアップさせることを目的に毎日充填機のことを書いて公開していた。
半年ほど経つとブログを見た人からの問い合わせが増えたことを受けて広報・マーケティングの重要性を感じ、経験や知識はなかったが自分が辛い時に受け入れてくれた会社に貢献するためにマーケティングを仕事にしたいと思った。インターンが終わる前に、新卒社員第一号として雇ってほしいと駒井にお願いすると「いいよ」とあっさり承諾してもらい入社することになる。」


―就職活動や会社での働く経験を通じて、若者へ伝えたいことは?
「2つ意識してほしいことがある。
1つは行動して、人に会って欲しいということ。
考えることも大事だけれど、自分とは違った価値観の人に会うことで今見ている選択肢以上のものを知ることができる。
2つめは、自分はどんな人間なのかを知ってほしいということだ。
『やりたいことがないとだめだ』という空気が日本に漂っているが、やりたいことがないということは問題ない。ただ、自分を見つめ直して得意なことや好きなことは何かと考えたり、未経験のことに挑戦していくことで自分の人生に合った選択をするための判断材料が増えていく。
起業やフリーランスなどいろいろな選択肢がある中で、就職活動に重きを置きすぎて自分を曲げてしまうことはもったいない。
どんな選択肢があるのかを知り、自分にあった選択ができるようになって
ほしい。」


(PRリンクインターン 古江 晃也)

写真キャプション 株式会社ナオミ 田中ナルさん(写真提供:ナオミ)

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