設立は2002年。現在は、北海道から九州まで全国100カ所を超える漁業者、漁業協同組合から水揚げ情報を入手し、水産物の流通を行っている。「苦しい立場にある漁師を救うことが、自分の使命だと感じている」と西川益通社長(67)は語る。旬材のSCSS(旬材リアル買い付けシステム)と呼ばれる産地直送システムは、「IT化が最も遅れている業界の一つ」と言われる水産業にとって画期的なものだ。システム利用者は、動画や音声で全国の漁港の水揚げ状況を一覧することができ、欲しい水産物をリアルタイムで買い付けることが可能。通常市場に出回ることのない規格外の魚の取引もできる。「産地直送」という言葉がまだ一般的ではなかった2002年に、従来の流通市場を通さず、生産者から直接水産物を購入して消費地へ届け、通常の価格帯よりも安く販売した。
西川社長が同社を設立したのは、57歳のとき。それまで、ヤンマー造船で25年間にわたり造船の設計や販売に携わってきた。全国の漁港を回るうちに感じたのが、日本の水産業に対する不安だった。収入や労働環境の厳しさから、50年前に130万人いた漁師は現在、20万人ほどに減少。また50%が65歳以上の高齢者だという。「流通構造を変えるのと、漁師を目指す若者を増やさないといけないと感じた」と西川社長。水産高校の授業で同社の産地直送システムを導入する予定だ。
若者に対して「個性的な人は増えたが、現実とのギャップに悩み、ひ弱な人が多い」と感じている。同社では今後5年間、毎年20人程度を採用する予定。採用時期は特に設けておらず、いつでも採用に応じている。「自分が何をしたいかということに年齢は関係ない。人の何倍も努力できて、知恵を持った人にきてほしい」と話す。
(関西学院大学 橋本翔一朗)
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