2014.04.22 11:42

【学生記者が行く】「icco nico」坂本麻利代表に聞く

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記者:笹山大志

「シンプルだけど、一工夫ある商品がおしゃれ」。そう語るのは、革や紙などの自然素材を使った雑貨や文房具のデザインを手がけるネットショップ、icco nico(いっこにこ、奈良県大和高田市)の代表、坂本麻利さんだ。昨年、ツイッターを通して知り合った仲間と共同で企画した切り取り線柄マスキングテープが人気を博している。自分で作った商品を世に出したい一心で事業を行ってきた坂本代表に、デザインへのこだわりや今後の展望について聞いた。


――デザインに魅せられたきっかけは

 「幼い頃からものづくりが好きで、高校卒業後に服飾デザインの専門学校に入学した。21歳のときに卒業旅行でパリを訪れたが、歩く人が古着を組み合わせて着こなす姿や、街全体の雰囲気に日本にはない『おしゃれ』を感じた。現在、事業のテーマに『シンプルだけど一工夫されたパリっぽいものを作る』『自分で使いたい文具や雑貨を作る』を掲げているが、パリで受けた影響が大きい」

 ――パリから帰国後は

 「子供服の会社に入社し、企画部でデザインを担当した。研修時に大量の在庫を見せられ、デザイナーとしての責任を強く感じる毎日だった。『ブランド志向の強い日本人に売れる商品は何か』ということを考え続けてきた。退社後、自分の好みと流行が合ったカントリードールのような人形やかばんを作り、雑誌に売り込んでいたが一般には受け入れらなかった。事業が波に乗らず、アイデアを探していた昨年、仲間と開設した「切り取り線bot(ボット)」という時報を流すツイッターアカウントにヒントを得て、切り取り線柄のマスキングテープを作った」

 ――商品の特徴について

 「マスキングテープは、塗装時に使われる養生用テープを雑貨用にデザインした。岡山県倉敷市にあるカモ井加工紙がテープの質感に目をつけて生まれた。シールや他のマスキングテープの組み合わせで、1冊のメモ帳がオンリーワンの雑貨になる。使う人によって自由なアレンジが可能で、日々の生活に小さな幸福感が生まれる。加えて、icco nicoのマスキングテープは、オリジナルの1行原稿や検索ボックス柄などが特徴。テープは4種類あり、チェックが入れられたり、検索ワードを強調したりできる。自分が使いたい商品を作りたいと思ったため、実用性にもこだわった」

 ――事業での苦労は

 「何でも自分でやりたいタイプで、困難を感じることはない。しかし、事務処理から商品の企画や発注までの全てを1人で切り盛りしようとしても、追いつかないこともある。事務所を奈良県商工会連合会の経営支援室の職員に紹介してもらったり、ツイッターで商品のデザインを募集したりすることもある。身の周りの人に助けてもらうことが多い。革靴教室やアルバイト先のミシン屋での人との出会いなど、人とのつながりが事業に生かされている。自立するという意味でも、一つの成功で事業展開の可能性が広がった分、主婦感覚から抜け出す必要があるかもしれない」

 ――今後の展望は

 「昨年からネットだけでなく、一般の雑貨店などでも販売してもらえるようになった。女子中学生から50代の女性まで幅広い年代の支持を受け、新商品のリクエストや『使いやすい商品をありがとう』と感謝の言葉をもらうことも。将来の具体的な目標は定まっていないが、今後も、その期待に応えるべく、多くの種類をデザインして、icco nicoの商品でお客さまの日々の生活に小さな幸せを吹き込むことができればと思う」

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