2013.04.27 07:30

「じょぶ」佐藤福男社長に聞く

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記者:廣川大悟

じょぶ(大阪府東大阪市)は、建築設計や施工を業務とする地域密着の工務店だ。施工地域を大阪府、京都府、奈良県、兵庫県に絞り、引き渡しまで1~2人の担当と専門業者が一貫して建て主をサポートする。建て主自らが家の建設に携われるセルフビルドでは、建て主に壁塗りなどを行ってもらい、施工の大変さを感じてもらう。「人生のテーマは笑い」と言う佐藤福男社長に企業理念や今後の目標などを聞いた。

――三笑主義の家づくりとは

 「建て主・協力業者・工務店の3者それぞれが納得いくまで話し合い、関わる人全てが笑顔で引き渡しの日を迎えることができる家づくりのことをいう。実現のため、まずは自らが笑顔であろうと心掛けているほか、お客さまとの繋がりを一番に考えている。小学生時代の夢は漫画家になることだった。スタッフには高いコミュニケーション能力を求めている。施工中に少々厳しい要求を受けた場合も、職人の意見を通すだけではなく、可能な限り対応するようにしている」

 ――顧客のニーズを引き出す秘訣(ひけつ)は

 「『じょぶ』について深く知ってもらうため工夫を凝らしている。現在、大阪府内には多くの工務店が存在しているが、その中で自社を選んでもらうには、いかに信用してもらうかという点が重要になってくる。そこで、決定するまでに最低2回の見学会を経験していただき、初めは通常の見学会、次に現在施工中の物件を見学する構造見学会を行っている」

 「仕事の依頼を考えている人が過去の顧客を訪問し、家の様子やじょぶのサービスなどについて話を聞く『OB客訪問』によって、顧客同士の繋がりも生まれている。勉強会も開催しており、いっしょに住宅に関する法律や設計について学ぶ。さらに、ホームページには顧客からの意見を掲示しており、現場にくぎを忘れてしまったなどといった失敗も正直に載せている。スタッフ紹介では、より親近感を持ってもらうために社員の生い立ちや趣味などを書いている」

 ――独立の経緯は

 「高校卒業後は設計事務所に就職し、その後工務店に転籍した。マンションや役所などの『箱もの』でお金は稼ぐことができ、バブル時代の年収は1000万円を超えていた。しかし、数多くの建築に携わってもそこに住む人の顔が見えず喜びがなかった。そんな中、完成した注文住宅の引き渡しに立ち会った。建て主は涙を流して喜んでおり『人に感動してもらうことが自身の喜びになる』と感じた。その時の感動が忘れられず、45歳の時に独立を決意した。妻や周囲の人々からは猛烈な反対を受けた」

 ――営業や経営の経験はなかった

 「仕事をどう獲得するのか悩む日々が続いた。独立後初めてのお客さまは、知り合いの企業のトップ営業マンと同行することで獲得することができた。初めは反対していた妻も次第に考えを理解してくれるようになり、仕事がない時期も支えてくれた。この時に、人のつながりが一番大切だということを実感した」

 ――今後の目標は

 「100年企業を目指す。松下幸之助の『松下電器は人をつくるところです。あわせて電気器具もつくっております』という言葉に感銘を受け、人づくりに力を入れている。その一環として、主に20~30代の職人のために『夢小屋塾』を開催している。夢小屋塾では、倫理的な考えや社会人の在り方などを、自分の経験も交えながらグループでの討論形式で学ぶ。現在は新築が主な業務であるがリノベーションなど時代のニーズに応えるため、一人でさまざまな仕事をこなせる多能工の育成もしていきたい」

※「フジサンケイ ビジネスアイ」2013.4.8(西日本版)掲載

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記者プロフィール

廣川大悟

廣川大悟

役職 : 甲南大学桐畑ゼミ代表
卒業 : 甲南大学マネジメント創造学部
出身地 : 愛媛県今治市
誕生日 : 1991年11月29日
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