2013.02.08 18:24

意外と知られていないブルネイ王国 その魅力と日本との関係

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記者:増田智有

ブルネイ王国を知っているだろうか。ブルネイは、東南アジアのボルネオ島北部に位置するイスラム教国である。人口42.3万人、国土面積は三重県とほぼ同じであるが、東南アジアきっての安定した経済と高い所得水準を誇る。エネルギー資源が豊富で、日本が最大の輸出国だ。ブルネイのLNG(液化天然ガス)の総輸出量の約9割が日本向けである。ブルネイを知ることで、アジアとの関係、日本のエネルギー問題、環境保護など、今、私たちが考えるべき問題が見えてくる。今月、東京と大阪でブルネイの写真展が開かれるのを前に、両国の課題について、社団法人「日本ブルネイ友好協会」(東京・千代田)の山田甲太さん(43)に聞いた。


——なぜこれほど大量のLNGが日本へ輸出されるのでしょうか。

山田:1960年代、日本では公害問題が大きく取り沙汰されるなか、より環境に優しいエネルギーが求められていました。このころ、ブルネイで大規模なガス田の開発が検討されており、三菱商事がこのLNGプロジェクトに参画しました。
天然ガスをLNGとして輸出する場合、天然ガスを約-162℃の超低温で液化し体積を約600分の一にした上で、タンカーで輸送します。

しかし液化するためのプラント建設や専用タンカーの建造には巨額の資金が必要です。したがって、ブルネイでのLNG輸出プロジェクトの実現には、長期にわたる販売先を確保することが必要だったわけですが、そこに手をあげたのが東京電力、東京ガス、大阪ガスの3社でした。

3社は1972年、他国に先駆けて共同でブルネイ産LNGを長期契約・大規模導入しました。日本企業が先手を挙げたことがきっかけで、現在に至るまで日本とブルネイはLNGにおいて重要なパートナーとなっています。

——日本とブルネイは資源においてこんなにも関わりが深いのですね。資源といえば、枯渇や関連施設の建設に伴う環境への影響といった問題が気になるのですが、ブルネイでは何か環境を保護する取り組みはあるのでしょうか。

山田:ブルネイは自然に恵まれています。国土開発率は約15%で、国土の多くは手つかずの原生熱帯雨林です。その要因として、政府が原生林伐採による木材の輸出を禁止していたり、国立公園として積極的に保護していたりすることがあげられます。

自然資源のみならずエネルギー資源にも恵まれた国ではあるものの、最近では電力料金を値上げすることにより、国民の省エネに対する意識を高めるための施策が取られたり、ガス火力発電所の高効率化が検討されたり、環境問題や持続的発展に対する意識も高まってきています。若年層への環境問題に関する教育にも力を入れているという話を良く耳にします。

——自然が豊かなのはいいことですよね。国をあげて積極的に環境問題に取り組んでいるところは、日本も見習うべきだと思います。ところで、日本とブルネイは資源面以外でも深い関わりがありますか。
山田:日本とブルネイは経済面において深い関係がありますが、日本におけるブルネイという国の知名度は決して高くありません。ブルネイにいても、日本人観光客を見かけることは非常にまれです。

ブルネイでも、特に若い世代には漫画やアニメといった日本発信のエンターテインメントの人気は高いです。一方で、最近はこれらも韓国の音楽やドラマの人気に押されているという現状もあります。

——日本のエンターテインメントが現地でも親しまれているのはうれしいですね。しかし、私は日本・ブルネイ両国の人的文化的交流は非常に少ないと感じています。ブルネイに行くという日本人観光客も、日本に来ているブルネイ人も見たことがありません。ブルネイの学生が留学先として選択するのはイギリスやオーストラリアなどが多く、日本への留学生はほとんどいないそうです。この状況受け、日本人・ブルネイ人が互いの国に対して関心を高め、両国の相互理解を深めるためにはどうすればいいでしょうか。

山田:関心を高めるためには、宣伝活動や交流など、できるだけ互いの国を知る機会を設けることが必要です。その活動の一環として今月、ブルネイ写真展を東京と大阪で開催します。

ブルネイの街や人々のありのままの姿を見てもらうことで、ブルネイへの関心が高まるのではないかと期待しています。そしてやはり実際に日本人・ブルネイ人が交流することが大切です。

少人数ではありますが、当協会でもブルネイ人学生の招聘プログラムを実施したり、日本人学生をブルネイへ派遣したりしています。

ブルネイの学生が留学先として選択するのは確かに英語圏が一般的ですが、日本の学生との交流の機会を増やし、日本に興味を持ってもらうことで日本への留学生が増えれば、将来のブルネイと日本の関係深化にも寄与してくれるものと思います。

こうして日本人とブルネイ人が交流するなかで、実際に互いの国の文化を経験し、その魅力を知り、互いに尊重することで、両国の相互理解は深まるでしょう。

◆◆◆◆
2月8日から14日まで富士フイルムフォトサロン東京(東京都港区)、2月22日から28日まで富士フイルムフォトサロン大阪(大阪市中央区)で、長年ブルネイを撮影、取材されている森山正信さんによる写真展「ブルネイ王国 VOL.2」が開催される。撮影許可を取るのが難しいモスクの中の写真や現地の人の生活を収めた写真がある。この機会に、写真を通してブルネイを垣間見てはどうだろうか。

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記者プロフィール

増田智有

増田智有

役職 : -
在学中 : 大阪大学外国語学部(3回生)
出身地 : -
誕生日 : 1992年6月15日
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